松島さんは、自身の結婚式で、母親が着てほしいものを選ぼうと決めていました。母親は「映画『パリの恋人』(1957年)でオードリー・ヘプバーンが着ていたジバンシィ(GIVENCHY)のドレスがいい」とリクエストしました。
既存のドレスでは見つけることができず、完全に再現するには一から作るしかなかったため、松島さんはウェディングプランナーにフルオーダーを手掛けるデザイナーを紹介してもらいました。
2023年8月頃からドレス制作がスタートしました。まず、ヘプバーンがドレスを着た写真を集めることから始めました。デザイナーと一緒に、あらゆる角度の写真を何百枚も集めてイメージを共有し、後ろ姿の写真がなく、探し出すのに苦労したそうです。
生地選びも、カラー写真を見ながら忠実に再現しました。当初、ドレスの色はピュアホワイトをイメージしていましたが、ハワイの強い日差しのもとでは、純白だと写真で白飛びして人工的に写る可能性があるため、クリーミーがかった白のシルクに決定しました。
トワルを何度もやり直す中で、最もこだわったのはローウエストのシルエットでした。ウエストの位置が高すぎると、ラブリーなプリンセスドレスになってしまい、低すぎるとボリュームのあるチュールスカートとのバランスが悪くなってしまいます。エレガントで大人っぽい、絶妙なバランスを追求し、ウエストの位置をミリ単位で何度も調整しました。
トップにリボンを飾ったベールにも細やかなアイデアが施されました。松島さんは母親に「少しアレンジを加えようかな」と相談しましたが、母親は「ベールも全く同じにしてほしい」と希望しました。チュールを使ったベールは、独特のバルーンシルエットをキープできるよう、見えない位置でドレスに留められる仕掛けになっています。
ウェディングドレスに合わせて、邸宅でのガーデンセレモニーに合う軽やかなフラットシューズをセレクトしました。松島さんは「ドレスに夢中で靴のことすっかり抜けていて、直前になって大慌てて探しました(笑)」と語ります。芝生の上を飛んだり跳ねたり、走り回っても大丈夫なように、大好きなディオール(DIOR)から布製のフラットシューズを選びました。
セレモニー後のパーティでは、白のアロハ柄ドレスに着替えて、よりリラックスしたムードを楽しんだそうです。ゲストには、家族ごとに同じ色のアロハシャツをプレゼントし、結婚式に着てもらいました。松島さんは「アロハ選びをしているときに、偶然見つけた白のウェディングドレスとシャツを一目見て気に入ってしまい、これは着るしかないなと(笑)」と語ります。足元は、ハワイアナスのビーチサンダルを現地で調達しました。
最後に、リゾートウェディングを行うプレ花嫁に向けて、ドレス選びのアドバイスを聞きました。「海外での挙式は、式を迎える当日まで、普段と環境や気候、食事の違いなど、いつも通りの自分であるために気を使う部分がたくさんあるので、心身のコンディションを保つ難しさがあります。だからこそ、ドレスは、頑張りすぎずに着こなせるデザインを選ぶのがいいと思います。一生に一度の結婚式を心から楽しむために、自分のナチュラルな体を受け入れ、無理なダイエットはせず、リラックスできる着心地の良いドレスを選ぶのが大切だと思います」と松島さんは話します。
参考商品
* ATELIER VERDE(アトリエ ヴェルデ)
* イヤリング、ペンダント:HARRY WINSTON(ハリー・ウィンストン)
* シューズ:¥135,000/DIOR(クリスチャン ディオール)
Photo : Yuji Takeuchi
Hair & Makeup: Keiichi Hiramoto
Wedding Planner: Eri Ishida
Venue: Ka La’i Aloha Estate
Interview and Text: Makiko Awata